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66歳で診断された
血液がんとの向き合い方
― マクログロブリン血症と共に生きる ―

2023年6月、Oさん(67歳・元公務員)は、マクログロブリン血症と診断された。症状がほとんどない中での診断、治療に至るまでの選択、そして病気と向き合う日々。診断から治療開始までの葛藤や決断、そして現在の思いについて語っていただいた。病気を抱えながらも前向きに生きるOさんの姿勢は、多くの患者にとって参考となるだろう。


診断に至るまでの経緯

聞き手
最初に異変を感じたのはいつ頃ですか?
Oさん
もともと貧血を指摘されており、人間ドックでも赤血球の数が減っていると言われていました。ただ、自覚症状はなく、特に不安を感じることもありませんでした。
2023年5月、近所の病院で検査を受けた際、「原因がわからないので、専門医の診察を受けてください」と勧められました。そこで総合病院の血液内科を受診しました。最初は「貧血の原因がわかるなら」と軽い気持ちでしたが、血液検査を繰り返すうちに不安が募りました。
聞き手
すぐに診断がついたのでしょうか?
Oさん
いいえ。最初の検査では「悪性リンパ腫か多発性骨髄腫の疑い」と言われ、骨髄穿刺を受けるよう勧められました。
骨髄穿刺と聞いてすぐに「痛そうだな」と思いました。実際、腰の骨に針を刺して細胞を採取する検査は、鈍い重みを伴い、想像以上の衝撃でした。
聞き手
初めて病名を聞いた時、どう感じましたか?
Oさん
「マクログロブリン血症」と聞いても、最初はピンときませんでした。先生に「どんな病気ですか?」と尋ねると、「血液のがんの一種です」と説明されました。その瞬間、「血液のがん? じゃあ治るのか?」と矢継ぎ早に質問しましたが、「完治はしません」と言われ、大きなショックを受けました。
整理がつかず、インターネットで病気のことを調べました。図書館で血液がんの本も読みましたが、この病気が血液がんのなかでもレアなものでなかなか情報がなく、戸惑いました。調べていくうちに、血液がんの専門医が解説しているYouTube動画を見つけ、その他にも、血液学会のウェブサイトに標準療法の情報がPDFで上がっていたりして、それがとても参考になりました。

治療を開始するまでの心境

聞き手
診断後、すぐに治療を始めましたか?
Oさん
いえ、最初は経過観察でした。最初の数ヶ月は特に生活の変化はなく、病院での検査を受けるだけでした。
聞き手
すぐに治療が始まらないことに対する不安はありませんでしたか?
Oさん
私はすぐに治療が始まらないことは、良かったと思っていました。治療を早く始めてもいいことはない、と医師からも言われていましたので。
聞き手
治療を開始するきっかけは何だったのでしょうか?
Oさん
ある時、眼科の診察で「網膜にむくみがある」と言われたんです。視力に影響が出るかもしれないと指摘され、その時に初めて「いよいよ治療を考える時かもしれない」と思いました。失明するようなことになると生活に支障が出るため、主治医と相談したうえで、治療を決意しました。
後から考えてみると、治療開始の目安となると言われていた、寝汗は結構あったかもしれません。

治療と副作用の体験

聞き手
治療の内容はどのように決められたのですか?
Oさん
主治医から点滴のBR療法と、飲み薬のBTK阻害剤の提案がありました。どちらにするか選択を迫られ、自分でもいろいろと調べて、どちらも標準療法であることを知り、いずれにせよ副作用があるにしても、飲み薬だと何錠ものお薬をずっと飲まないといけないようだったので、BR療法で6回で終わらせたい、とBR療法を選択しました。
聞き手
実際に治療を開始してからの経過はいかがでしたか?
Oさん
治療開始にあたっての一番の不安は副作用でした。私が一番つらかった副作用は便秘ですが、治療を重ねるにつれ、整腸剤等を活用してコントロールできるようになりました。それと、点滴を入れるときに血管に痛みが出るのも辛かったです。今でも腕が赤くなったりすることがあります。副作用への不安があったので、毎回入院させてもらったのですが、4人部屋でゆっくり眠れないのも少し辛かったですね。これは副作用ではありませんが(笑)。
聞き手
副作用に対して、どのように対処しましたか?
Oさん
便秘に関しては、対策をすると今度は下痢になったり、と便秘と下痢を繰り返しながらも、どの薬をどの時間に飲めばいいか、いろいろ工夫しながら自分で調整できるようになりました。
また、体を動かすことも意識しました。入院時も点滴が外れている間はできるだけ歩いたり、入院と入院の間の自宅にいるときは、調子が良い日は散歩をするようにしていました。これが気分転換にもなり、精神的にもプラスになったと思います。

現在の生活と未来への展望

聞き手
治療はご自身にどのような影響がありましたか?
Oさん
治療によって、IgMの数値が目に見えて減少していったことは嬉しかったですね。治療前の最高値が4800でしたが、2回目に2000、3回目には1400、現在は400台まで減少し、10分の1まで来ました。このことは、前向きに未来を考えられる後押しとなり、再発を恐れるよりも元気なうちにいろいろやりたい、と思えるようになりました。
まずは体調を維持しながら、できる範囲で楽しいことをしていきたいですね。体力がついてきたら、国内、国外旅行、大きな船での旅行などができればと思っています。
聞き手
最後に、同じ病気で悩んでいる方々にメッセージをお願いします。
Oさん
希少ながんで、なかなか情報がありませんが、インターネットを活用すれば、きちんとした情報にたどり着ける時代です。YouTubeなどでもわかりやすい最新情報の動画がありますので、どのような病気なのか、どんな治療があるのか、等正しく把握することも不安の軽減につながると思います。
私は健康オタクで生活習慣には十分気を付けてきましたが、2人に1人ががんになる時代です。私は珍しい血液がんになりましたが、人はいつかは死にます。やはり、毎日毎日を大切に生きていくしかないですし、毎日を楽しく生きていくことが大事だと思いました。
聞き手
貴重なお話をありがとうございました。どうぞこれからもお元気でお過ごしください。
Oさん
こちらこそ、ありがとうございました。
BeOne

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