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頑張り続けなくてもいい。病気が教えてくれた『まあ、いいか』という生き方

20年以上サルコイドーシスと向き合ってきたKさん。2022年、人間ドックで初めて受けた胃カメラをきっかけに、胃のMALTリンパ腫と診断されました。放射線治療を受けながら仕事を続け、現在も定期的な経過観察を続けています。病気になったことで見えてきた医療者への感謝、家族への思い、そして「頑張りすぎなくてもいい」と思えるようになった心の変化について、お話を伺いました。


初めて受けた胃カメラが、病気を見つけてくれました

聞き手
Kさんは、人間ドックがきっかけで病気が見つかったそうですね。
Kさん
そうなんです。2022年に初めて胃カメラを受けました。それまで20年以上、胃の検査はほとんど受けていませんでした。夫から「寝ている間に終わるから楽だったよ」と聞いて、「一度受けてみよう」と思ったのがきっかけでした。
聞き手
胃の症状はありましたか?
Kさん
たまに胃が重かったり痛んだりすることはありましたが、市販薬で治る程度でした。まさか病気が隠れているとは思っていませんでした。
聞き手
その後、どのような経緯で診断に至ったのでしょうか?
Kさん
生検の結果、「悪性リンパ腫の疑いがあります」と言われ、大学病院を紹介されました。改めて胃カメラなどの検査を受け、2023年2月に胃のMALTリンパ腫と診断されました。PET-CTではほかの臓器への広がりはなく、早期に見つかったことが分かりました。
聞き手
診断を聞いた時のお気持ちはいかがでしたか?
Kさん
やはり「がん」という言葉にはショックを受けました。一方で先生からは、「低悪性度なので落ち着いて治療していきましょう」と繰り返し説明を受けました。その言葉で少し気持ちが落ち着いたのを覚えています。

仕事を続けながら、15回の放射線治療を受けました

聞き手
治療は放射線治療だったのですね。
Kさん
はい。ピロリ菌が陰性だったため、先生から放射線治療を勧められました。「もし自分の家族なら、この治療を勧めます。」そう言われたことが、治療を受ける決め手になりました。
聞き手
放射線治療への不安はありましたか?
Kさん
主人が以前放射線治療を受け、とてもつらそうだったので迷いはありました。でも早期発見でもあり、「今できる治療を受けよう」と考えました。
聞き手
実際の治療はいかがでしたか?
Kさん
15回、毎日病院へ通いました。放射線そのものは短時間ですが、毎日決まった時間に通院し、絶食もしなければなりません。「今日は絶対に遅れられない。」そんな緊張感が毎日続きました。治療が終わった時は、副作用よりも「やり切った」という精神的な疲れの方が大きかったですね。
聞き手
仕事との両立はいかがでしたか?
Kさん
在宅勤務だったことが本当に助かりました。上司も理解があり、「治療に行ってきていいですよ」と送り出してくださって、毎日励ましのメッセージまでくださいました。治療の後半は運転も不安になり、主人が仕事を休んで送迎してくれました。周囲の支えがあったからこそ、最後まで治療を続けることができたと思います。

情報が少ない病気だから、自分で調べ続けました

聞き手
診断後は、ご自身でも情報を集められたそうですね。
Kさん
まず「胃 MALTリンパ腫」で検索して、患者さんのブログをたくさん読みました。診断後にどんな検査や治療を受けるのか、どのくらい通院するのかを知りたかったんです。治療費まで詳しく書いてくださっている方もいて、とても参考になりました。
聞き手
公的な情報もご覧になりましたか?
Kさん
はい。がん情報サービスや日本血液学会のホームページも読みました。ただ、MALTリンパ腫は希少ながんなので、患者向けの情報は本当に少ないと感じました。
聞き手
診察では十分に質問できましたか?
Kさん
先生はとても忙しく、診察時間は長くありません。だから聞きたいことは事前にノートへまとめて行くようにしていました。それでも、「この病気について説明した冊子があればいいのに」と何度も思いました。病気を理解するための資料があれば、患者はもっと安心して先生と話ができると思います。

寛解と言われないまま、経過観察が続いています

聞き手
放射線治療が終わった時は、どのようなお気持ちでしたか?
Kさん
胃の重い感じはなくなり、「これで寛解と言われるのかな」と期待していました。でも、胃カメラでは病変が完全には否定できず、「経過観察を続けましょう」ということになりました。
聞き手
現在も定期的に通院されているのですね。
Kさん
はい。3〜4か月ごとに血液検査を受けています。最近は可溶性IL-2レセプターの値が少し上がってきたため、PET-CTを受ける予定です。「もし病気が進んでいたらどうなるんだろう」「薬物療法になるのかな」と不安になることもあります。
聞き手
それでも通院は続けていこうと考えているんですか?
Kさん
そうですね。実は一度、「もう病院へ行くのをやめようかな」と思ったこともありました。
でも、やっぱり気になってしまうんです。自分が安心するためにも、これからも先生と相談しながら経過を見ていこうと思っています。

病気が教えてくれた『まあ、いいか』という生き方

聞き手
病気を経験して、ご自身の考え方に変化はありましたか?
Kさん
ありましたね。血液のがんと診断された時は、本当にショックでした。親戚に白血病で亡くなった人もいたので、「自分はこれからどうなるんだろう」と、死について考えることも増えました。子どもはまだ学生ですし、一人暮らしをしている母には、今も病気のことを話していません。
心配をかけたくないという気持ちが強いんです。
聞き手
ご自身の気持ちは少しずつ変わっていきましたか?
Kさん
昔の私は、「きちんとしなければ」と思うことが多い性格でした。でも病気を経験してからは、「まあ、いいか」と思えることが増えました。先のことばかり心配しても仕方がありません。
今できることを一つずつやっていけばいい。そう思えるようになったことは、自分の中ではとても大きな変化でした。
聞き手
生活の中で変えたことはありますか?
Kさん
食生活は見直しました。お酒は週末だけにして、胃に負担がかかりそうなものも以前より控えるようになりました。「病気だから我慢する」というより、「これからも元気に過ごしたい」という気持ちの方が大きいですね。
聞き手
病気になったことで、医療者への見方は変わりましたか?
Kさん
はい。大学病院へ通うようになって、先生や看護師さんだけでなく、受付の方まで本当に忙しく働いていることを知りました。電話は鳴りっぱなしですし、たくさんの患者さんに対応されています。以前は待ち時間が長いと、「まだかな」と思うこともありました。でも今は、「こんなに多くの患者さんを支えてくださっているんだ」と思うようになりました。受付で電話が鳴り続けているのを見た時には、「私が代わりに電話に出てあげたい」と思ったこともあります。それくらい、医療者の皆さんへの感謝の気持ちが大きくなりました。
聞き手
最後に、これからMALTリンパ腫と診断される方へメッセージをお願いします。
Kさん
この病気は患者さんが少なく、情報も決して多くありません。だからこそ、不安になるのは当然だと思います。私自身も患者さんの体験談や公的な情報を読みながら、少しずつ病気を理解してきました。分からないことは、一人で抱え込まず、先生に聞いていいと思います。診察時間は短くても、聞きたいことを書き留めておくだけで、安心して話ができるようになります。そして、経過観察が続くと、どうしても先のことを考えてしまう日があります。私も今、不安がなくなったわけではありません。それでも、先のことばかり心配していても答えは出ません。今できることを大切にしながら、ときには「まあ、いいか」と肩の力を抜いて過ごすことも必要なのではないかと思っています。
病気と向き合うことは簡単ではありません。それでも、自分らしい毎日を大切にしながら、一歩ずつ前に進んでいけたらいいのではないでしょうか。
BeOne

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